業務用エアコン(空調機)の法令点検について解説します。
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## 【フロン排出抑制法とは】管理者と義務
フロン排出抑制法とは、エアコンや冷凍冷蔵機器等に使われるフロンガスは、オゾン層破壊と温室効果(CO₂の数千~1万倍)が問題となっており、これを規制するためにできた法律です。
この法律では、該当する設備を使用する『管理者に対しての責任』が定義づけされており、12順守状況は各都道府県が監督(指導、助言、勧告)します。
管理者とは、業務用エアコンや冷凍冷蔵機器を所有し、管理している人です。
管理者となる人はフロン排出抑制法施行により罰則を伴った義務が発生します。
設備の所有形態 | 管理者に該当する人 |
---|---|
自己所有・管理 | 設備を所有する人 |
リースやレンタル | 所有者ではなく日常的に使用、管理している人 |
他人所有・他人管理 | テナント利用者でなくビルのオーナー |
管理者には以下の義務があります。
– | 義務 |
---|---|
①適切な場所に設置すること | 機器が壊れにくい場所、点検・修理等が行いやすいようにスペースが確保できる場所を選び、清掃など使用環境の維持・保全をします。機器に損傷をもたらすような振動源を避けて設置、機器の周囲に点検・修理のために必要な作業空間を確保します。 |
②すべての機器の簡易点検(自分でもできる点検)をすること | 常な振動や運転音がしないか、油のにじみはないか、キズや腐食はないか、熱交換器に霜は付いていないか、フィルター掃除はしているか、温度管理をしているかなど、専門知識がなくても日常的にできるものです。エアコンや冷凍冷蔵庫の効きが悪くなっていると、フロン類が漏れている可能性があります。フロン排出抑制法では3か月1回以上行うこととされています。使用状況に応じてこまめに行ってください。 |
③大きな機器は定期点検(専門家による点検)をすること | 圧縮機に用いられる電動機又は内燃機関の定格出力が7.5kW以上の機器については、簡易点検の他に専門知識を有する者による定期点検が必要となります。機器の種類、規模に応じて最低限やらなければならない点検の頻度が決まっています。定期点検を実施する際は『十分な知見を有する者』が実施する必要があります。具体的には冷媒フロン類取扱技術者(資格者)となります。また、依頼する業者は充填回収業者(登録業者)である必要があります。 |
④漏えい防止措置、修理をしないままフロン類を充填しないこと | 冷媒フロン類の漏えいや機器の故障が確認された場合、やむを得ない場合を除き、修理しないままフロン類を充塡してはいけません。やむを得ない場合とは、建物を壊さないと修理できない、機器を使用しないと健康を害する、商品が傷むなどです。ただし、その場合でも60日以内に修理を行うこととされています。 |
⑤点検結果を記録し保存すること | 機器の点検・修理、冷媒の充填・回収の履歴等を記録し、その機器を廃棄するまで保存しなければなりません。 |
⑥フロン類の漏えい量を算定すること(漏えい量が一定量以上ある場合は国への報告が必要) | 機器に充填・回収したフロン類の量と種類を第一種フロン類充填回収業者(メンテナンス業者が兼ねている場合もあります。)から発行される充填証明書・回収証明書を用いて算定してください。 |
⑦機器を廃棄する時はフロン類を回収すること | 廃棄される業務用冷凍空調機器は産業廃棄物として処分されますが、その前に機器の内部に残存しているフロン類を第一種フロン類充填回収業者に依頼して回収しなければなりません。第一種フロン類充填回収業者から発行された引取証明書を必ず保管してください。(3年間) |
## 【定期点検】必要な機種一覧表
機種(圧縮機電動機定格出力) | 点検頻度 |
---|---|
エアコン(7.5kW以上50kW未満) | 3年に1回以上 |
エアコン(50kW以上) | 1年に1回以上 |
冷凍・冷蔵機器(7.5kW以上) | 1年に1回以上 |
エアコン室外機には『銘板(めいばん)』とよばれるシールが付いています。
エアコン室外機の定格出力を確認するための銘板のある場所の写真
この銘板の中に【出力 圧縮機 ○○kw】と記載があります。
この〇〇kwが圧縮機の電動機の定格出力です。下の写真の赤枠の部分です。この数字で点検の種類を判断します。写真では1.8kwと記載があります。このエアコンについては7.5kw未満なので定期点検は必要ないことがわかります。
## 漏えい量の算定方法
会社全体で1年間(4月から3月)の集計をして、漏えい量を算定してください。算定した結果、漏えい量が二酸化炭素に換算して(注)1,000トン以上となった場合は所管する国の機関に7月末までに報告してください。計算結果が1,000トン未満の場合、報告は不要です。
(注)漏えい量の算定方法
フロン類の種類毎に以下の式に当てはめ計算し、合算してください。
\begin{eqnarray}
{(充填量kg ー 回収量kg)× フロン類の種類毎に決められた係数(地球温暖化係数) }/1000
\end{eqnarray}
## 簡易点検について
簡易点検の主な点検項目は以下のとおりです。
– | 点検項目 |
---|---|
1 | 異音、異常振動がないか |
2 | 油にじみ、傷、腐食、錆がないか |
3 | 配管や熱交換器に霜が付いていないか |
4 | ごみの付着、植物の絡まり(室外機)、配管の劣化はないか |
簡易点検については誰でも実施できるよう、点検項目やチェックフォーマットがついたマニュアルが公開されています。
簡易点検の手引き:http://www.env.go.jp/earth/airconditioner.pdf
出典:一般社団法人日本冷凍空調設備工業連合会
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